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相続登記をやらなかったらどうなるの?義務化の行方は?

「相続登記をやらなかったらどうなるのか?」は、相続の実務に携わっていると意外とよく受ける質問です。回答は「義務ではないが司法書士に報酬を払ってでも絶対にやったほうがよい」です。 筆者も何度となくこの質問を受けました。質問しているにもかかわらず、実際にはやりたくない気持ちの方が強いクライアントが少なくありません。しかし、最終的には全てのクライアントが相続登記を済ませています。さらに、今後は相続登記の義務化も検討されています。 この記事では、法改正により相続登記の義務化の流れもある中で、「相続登記」を行うべき理由と、義務化が施行されたらどうなるのかについて、わかりやすく解説していきます。 目次 なぜ相続登記をする必要があるのか そもそも相続登記とは何でしょう。相続登記とは、相続財産のうち土地や建物など不動産の登記簿上の所有者を、被相続人から相続人に変更する手続きです。相続登記は、相続放棄や相続税の申告などの手続きと違い、期限や罰則がありません。そのため何年か経った後に相続登記をしてもよいですし、そのまま何もせずに放っておくこともできてしまいます。 しかし、相続登記をしない場合のデメリットは大きいです。まず、そのままでは不動産を売却することができません。通常、売買するときは登記簿上の所有者を売主から買主に変更する登記をしますが、相続登記していないとその登記ができません。 また、銀行から住宅ローンでお金を借りて家を立て替えようとするときも、住宅ローンを組むことができません。住宅ローンは通常、担保として自宅に抵当権を設定する登記をするのですが、相続登記をしていないとその登記ができないからです。 つまり、相続登記は、上記のような不動産の売却や担保設定といった処分行為をするにあたり、必ずしなくてならないものなのです。 相続登記をしていない土地が多い問題 相続登記は重要ですが、前述したように期限や罰則がありません。他の相続手続きの場合、例えば、相続放棄や限定承認は相続発生を知った時から3ヶ月以内、準確定申告は相続発生を知った日の翌日から4ヶ月以内、相続税の申告は相続発生を知った日の翌日から10ヶ月以内という期限があります。また、準確定申告や相続税の申告は期限を遅れるとペナルティもあります。 しかし、相続登記にはそのような制限が無いので、何年か経った後に相続登記をしてもいいですし、そのまま何もせずに放っておくこともできてしまいます。 このように相続登記は義務ではないため、相続登記をせずに放置され、所有者がわからなくなってしまった土地が増え続けています。2016年の国土交通省の地籍調査によれば、所有者不明の土地は約410万ヘクタールもの面積におよびます。九州の面積が368万ヘクタールですが、それよりも大きな規模の土地が所有者不明となっているのです。 この所有者不明の土地は今も増え続けており、2040年には、およそ北海道の面積に匹敵する、約720万ヘクタールに達するであろうとの予測も出ています。 所有者不明の土地は個人も行政も活用できない 所有者不明の土地には様々な問題があります。以下は国土交通省が発表した、土地が活用できない事例です。 ・公共事業のために取得しようとする用地 →共有地が相続登記されておらず相続人多数 しかし相続人の一部が所在不明なため、用地取得が困難。 ・広場等として利用の意向がある土地 → 所有者の所在が不明なため、樹木の伐採等や利用の方針を立てることができない。 ・土地に家電製品等が大量に投棄されている →土地所有者の現在の住所が不明で所在が把握できない。 不法投棄なのか保管をしているかの確認ができず、自治体で処分ができない。 ・台風被害により崩れた急傾斜地への対策工事 →緊急に実施する必要があるが、相続 人多数。 かつ、一部相続人の特定ができないため、着手が困難。 以上のような事例があります。 つまり、所有者不明の土地は個人のみならず、行政においても活用することが困難なのです。 相続登記をするにはどうすればよいのか 今までお話ししたとおり、相続登記をしないことの影響は非常に大きいです。では相続登記をするためにはどうすればよいかについてお話しします。 相続登記の概略は以下になります。 ①対象となる不動産を謄本等で確認 ②戸籍等で相続関係を調査し、相続人を確定する ③相続人が複数いる場合、誰が何を相続するかを決める(遺産分割協議)日付が記載されている ④法務局に相続登記を申請する 相続発生後すぐに相続登記をすれば、相続人も比較的少ないので、スムーズに進むことが多いです。しかし何代にもわたって相続登記をしていないと、相続権自体がさらに次の世代に引き継がれてしまい、気がつけば数十人の相続人が関与する複雑な事態となることもあります。そこうなってしまうと相続登記は非常に困難です。 2020年相続登記の義務化 相続登記がされていない所有者不明の土地が増え続けていることは社会問題となっています。政府は問題を是正するべく動いていますが、解決に至っていません。そこで、これ以上所有者不明の土地を増やさないために、相続登記の義務化が検討されています。 相続登記の義務化の内容として以下の案が検討されています。 相続発生後、一定期間内に相続登記しなければならない。 相続が何代にも渡って起きている数次相続の場合、現在の相続人にも登記義務を課す。 登記義務に違反した場合、一定額の過料を課す。 相続登記を簡略化する。 以上の案はまだ検討の段階ですが、法務省が所有者不明の土地の相続人調査を既に始めていることから、相続登記の義務化は近いうちに施行されるでしょう。 まとめ 相続登記をしなかったらどうなるのか?また義務化の行方はどうなるのか?という疑問について、回答と解説をお届けしました。相続登記が義務化された場合、今まで相続登記をしなかった代償が、自分の代のみならず、子や孫の代におよぶことでしょう。 相続登記は個人でも遂行可能です。自分で登記すれば費用を抑えることができます。反面、手続きには手間がかかり、何度も役所や法務局に行かなくてはなりません。 自分で相続登記をすることが難しいようであれば、専門家に依頼しましょう。なお、専門家に依頼した場合、後で問題になりにくいというメリットもあります。相続登記はしたけれど後々問題になるケースもよくあるので、相続登記をする際は慎重にご検討されることをおすすめします。

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