相続税の納付期限はいつまで?例外とともに解説!

相続税の納付期限はいつ?

原則は確定申告書の提出期限と同じ!

相続税の納付期限は、その相続税の確定申告書の提出期限と同じです。すなわち相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月後となります。例えば12月1日に相続が開始したことを知ったならば納付期限は翌年10月1日となります。

相続が開始したことを知った日は通常は被相続人が亡くなった日となると思いますが、そうならない場合としては大きく以下の3つが考えられます。

第一は音信不通などの事情により亡くなったことを直ぐに知ることが出来なかった場合です。

第二は亡くなった時点では相続人ではなかった人が、その後、当初の相続人が相続放棄の手続きを裁判所に行なったことにより後から相続人となった場合です。この場合には亡くなった日とは一致しないのが通常です。また当初の相続人が相続欠格者であったことが後から判明した場合や遺言によって相続人が廃除された場合にも同様のことが起こります。

第三は亡くなった後、日数が経過してから遺言書があったことが分かり、その遺言書により相続人ではない人、例えば友人などが遺産の全部又は一部を遺贈により貰い受けることになったというように亡くなった時点では遺産を取得することになるとは分からなかった場合です。相続人ではない人が遺贈等により相続財産を取得した場合には相続人が相続財産を相続等した場合と同様に相続税の課税対象となる為に、このようなことが起こりうる訳です。

特殊なケース

現実に亡くなっていなくても失踪宣告の裁判が確定した場合には、その生死が不明になってから7年間が満了したとき(危難失踪の場合には危難が去ったとき)に亡くなったものとみなされ相続が開始します。

亡くなった日がハッキリしないために戸籍などに死亡年月日が「令和3年〇月〇日から同月〇日の間」などと記載されることがありますが、この場合には、その最終日に相続が開始したものとみなされます。

また細かいことですが「亡くなった」とは「心臓死」のことを指します。「脳死」の状態では相続は開始しません。

以上まとめ

相続税の納付期限は、その相続税の確定申告書の提出期限と同様、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月後となるのが原則です。

しかし、これには下記の説明の通り例外(例外1~3)があります。

なお例外は大きくは「これだけだ!」と思って頂いて結構です。すなわち、これ以外に例外はないと思って頂いて取り敢えずは問題ないと思います。(なお本文末尾の「◎注意」をご参照ください。)

例外1 ― 申請による期限の延長

災害その他やむを得ない理由により上記の申告期限までに確定申告書を提出できない場合には、災害その他やむを得ない理由のやんだ日から2か月以内に申請を行うことにより申告期限が延長され、これに併せて納付期限も同期間、延長されます。延長される期限は、災害その他やむを得ない理由のやんだ日から2か月後となります。

新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより確定申告書の作成・提出が困難になった場合にも利用できます。なお、この申請により申告期限、並びに納付期限が延長されるのは申請を行った人のみとなり、申請を行っていない他の相続人等については延長されませんので注意が必要です。

なお、この制度は「災害等の困難の中、何とか確定申告書の提出は申告期限内にやり遂げたが納付期限だけは待って欲しい。」との要求には応えることが出来ないものとなっています。あくまでも未申告の場合に申告期限と納付期限の両方を延長する取り扱いとなっているので、このような困難な事情に突き当たった場合には無理をして確定申告だけを先行せず、この申請により両期限の延長をはかることが得策であると思われます。

例外2 ― 税務署の閉庁日に当たる場合には次の開庁日まで自動延長

上で説明した申告期限、並びに納付期限(申請により延長された場合には勿論その延長された申告期限、並びに納付期限)が土曜日、日曜日、祝祭日、並びに年末年始の公官庁の休日に当たる為に税務署が閉庁日となる場合には、その後初めての税務署の開庁日まで申告期限、並びに納付期限が自動延長されます。

例外3 ― 期限後申告書、又は修正申告書を提出した場合

上記の申告期限に「忘れてしまった」等の理由から確定申告書を提出せずにいて後日、確定申告書(期限後申告書)を提出した場合、並びに誤って(計算ミス等により)少ない税額の確定申告書を提出していたことに気付いた為に上記の申告期限が過ぎてから(上記の申告期限内における訂正は関係ありません)内容を修正した申告書(修正申告書)を提出した場合における新たに発生する税額については、その確定申告書を提出した日が納付期限となります。

なお、この場合、郵便による提出の場合には郵便に付された消印の日付に提出があったものと見做されますので若干、注意が必要です。すなわち夜が迫っていて金融機関が閉店してしまっている等の事情により納税が出来ない場合には確定申告書は翌日以降に発送した方が、その分だけ納付期限が延びて若干有利になります。

納付の方法は?

納付は、その相続税を管轄する税務署へ現金を持参してすることも出来ます(管轄外の税務署では出来ません)。しかし現金をわざわざ税務署まで持ち運ぶのは面倒であり、また危険でもあるので金融機関での納付が一般的となっています。この場合、銀行、郵便局、信用金庫、信用組合など殆ど全ての金融機関で納付をすることが出来ます。

なお、相続税の確定申告書を提出したとしても税務署から納税通知等のお知らせや納付書が送られて来る訳ではないので、納税者ご自身が自宅の最寄りの税務署などから納付書を取り寄せた上で、これに必要事項を記入した後、金融機関の窓口へ現金と一緒に持ち込むことにより納付をすることになります。

また、クレジットカードでの納付やコンビニエンスストアでの納付も可能です。

クレジットカードでの納付は納付額に応じた決済手数料が上乗せされるというデメリットがあります。しかしクレジットカードの決済日まで事実上、納付期限が延長されたりクレジットカード会社のポイントが付与されるなどのメリットもあるので必要に応じてご検討ください。

コンビニエンスストアでの納付は限度額が30万円となっていますので税額が、これを超えると利用できません。また、コンビニエンスストアの窓口ではクレジットカード、電子マネーは利用できません。コンビニエンスストアでの納付には一見特段のメリットは無いようにも見えますが、忙しくてなかなか金融機関へ行くことが出来ないとか、金融機関が自宅などの近くにない等の事情により金融機関での納付が困難な場合には、それに代わるものとして24時間いつでも利用できるというメリットがあります。コンビニエンスストアには通常、提携銀行のATMも完備されていますので、この点からも便利と言えるでしょう。

クレジットカードでの納付、コンビニエンスストアでの納付とも詳しくは国税庁ホームページをご参照ください。

延納と物納

最後に納付期限に一括して納付が出来ない場合における延納と物納の制度について簡単に触れておきます。

延納

相続税額が10万円を超える場合で納付期限に一括して納付が出来ない場合には延納と呼ばれる分割払いを申請することができます。勿論、この10万円は相続税全体の金額についての基準ではなく相続人などの納税者1人1人についての基準となっています。

この制度は、税務書へ納付期限内に延納申請書及びその他の必要書類を提出し、許可を受けて、条件によっても異なりますが最長の場合で20年までの分割払いをすることが出来るというものです。

なお納付期限に納付が出来ると税務署が判断した金額については許可されません。あくまでも納付が困難と判断された金額についてのみ許可されるものです。

なお利息として利子税という税金がかかります。

なお「延納金額が100万円以下でかつ延納期間が3年以内である場合」以外には担保の提供が必要となり、その担保の内容については延納申請書に記載をしなければなりません。

なお、相続又は遺贈により取得した財産に限らず、相続人の固有の財産や共同相続人又は第三者が所有している財産であっても担保として提供することが出来ますが担保にすることが出来るものについては決められておりますので、ご注意ください。

物納

納付期限に一括して納付をすることが出来ず、また上記の延納によっても納付をすることが困難である場合には、その納付を困難とする金額を限度として、納付期限内に物納申請書及びその他の必要書類を提出することにより、許可を受けて、金銭に代えて一定の相続財産で納付をすることが認められています。これを物納といいます。

物納が出来るのは相続税の本税だけであり、これに附帯する加算税、利子税、延滞税については物納は認められません。また連帯納付責任額(他の相続人等が納付をしない場合に納付を求められる連帯責任の金額)についても物納は認められません。

物納する相続財産の収納価額は原則として、その相続税の課税の根拠となった評価額となります。

物納は一種の代物弁済であり譲渡と考えられますが特例により、その譲渡益に所得税が課税されることはありません。しかし物納をする人が個人でご商売などをされていて消費税の課税事業者となっている場合には消費税が課税されることがありますので、ご注意ください。

物納が出来る相続財産と、その順序は細かく決められておりますので、この点にも注意が必要です。

終わりに

相続税の納付期限は原則として「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月後」となっており若干の例外はあるものの殆どの場合は、この「10か月」が納付期限となるものと思われます。

相続税の確定申告がそもそも不要な場合や相続税額がゼロとなる確定申告書を提出した場合には納付は不要ですが、それ以外の場合には、この決められた納付期限に納付をしなければなりません。

それを怠ると延滞税が課税されたり差押を受けることにもなります。

延納や物納を選択することも出来ますが、この場合でも原則として納付期限までに、その為の申請書等を提出する必要があり時間との戦いともなります。

もし分からない事がありましたら早めに専門家に相談するのが得策と言えるでしょう。

◎注意

厳密には、これ以外にも納付期限に関する例外はあります。しかし複雑で難解な説明が必要なものばかりですので、ここでの説明は割愛させて頂きました。そこで以下に制度の名称と根拠法だけを紹介しておきたいと思います。

★修正申告の特則(相続税法第31条第1項,同第33条)

★相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例(租税特別措置法第70条の4,同第70条の6)

★納税の猶予(国税通則法第46条)

お気軽にご相談ください

  • 時間がなくて何もできない
  • 何をしたら良いのかわからない
  • とにかく相談したい

その他、なんでもお気軽にご相談ください!

0120-788-246

受付時間 10:00-18:00 [ 土・日・祝含む ]

お電話でのご相談

上記フリーダイヤルまでお気軽にお電話ください。
(スマートフォンの方はアイコンをタップして発信)

メールでのご相談

お悩み・ご状況をお知らせください。
担当者より平日の2営業日以内に連絡いたします。

オンラインでの面談

オンラインツールを使用した面談も可能です。
まずはこちらからお問い合わせください。