相続登記にかかる登録免許税の計算方法や納付方法など
1.相続登記にかかる登録免許税とは
不動産を相続する際、相続登記手続きを行い、取得した財産の名義変更を行うこととなります。
手続きには、相続登記申請書や被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを準備し、合わせて「登録免許税」という税金の納付も行わなくてはなりません。
この登録免許税とは、不動産を登記するときに課される税金で、相続登記を行う際は必ず登録免許税を納付することになります。
なお、登録免許税はあくまでも名義変更に対する課税ですので、財産を相続したことにより課せられる相続税とはまた別個の税金です。相続税を納税した人でも、名義変更に際しては別途登録免許税を納める必要があります。
登録免許税は自分で計算して相当額を納付します。相続による名義変更については、不動産の固定資産評価額の1000分の4(0.4%)の登録免許税が課税されます。
但し、登記を司法書士に依頼する場合は、登録免許税の計算も司法書士が行ってくれるため、自分で計算する必要はありません。
ここでは、相続登記の登録免許税の計算方法、免税措置、納付方法などについて説明します。
2.登録免許税の計算方法
以下の計算式を用いて自分で算出し、金融機関を通じて現金で納付するか、収入印紙によって納付します。
それでは、計算の手順についてみていきましょう。
登録免許税=不動産の価格×税率0.4%(不動産の価格は千円未満は切り捨て)
不動産の価格(課税価格)に税率0.4%をかけた額(百円未満は切り捨て)が登録免許税となります。
不動産の価格は、市町村役場(東京23区は都税事務所)で管理している固定資産課税台帳の価格(固定資産税評価額)がある場合は、その価格です。
市町村役場(または都税事務所)で証明書を発行しています。
なお、固定資産税評価額は、納税通知書の中の課税明細書にも記載されていますが、登記の際には固定資産評価証明書が必要なので、証明書の交付を受ける必要があります。
固定資産課税台帳の価格がない場合は、登記官が認定した価額です。不動産を管轄する登記所にお問い合わせください。
登記所の管轄については、法務局サイトの「管轄のご案内」ページから調べることができます。
土地とその上の建物を相続した場合、土地と建物は別々に登記されるため、登録免許税もそれぞれに対してかかります。
土地も建物も計算方法も違いはありません。
以上までの計算の手順を参考に、課税価格が234万5,000円の建物と、567万8,000円の土地を相続したケースを考えてみましょう。
この場合、課税価格の合計は、234万5,000円+567万8,000円=802万3,000円となり、これに税率0.4%をかけると802万3,000円×4/1000=3万2,092円となります。
さらに、100円未満は切り捨てるので、登録免許税は3万2,000円となります。
なお、このようにして計算した税額が1,000円未満(0円を含む)になった場合は、税額は1,000円になります。
3.登録免許税の免税措置
相続登記の登録免許税の税額が免除される免税措置には、次の2つがあります。
・相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置
・市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地のうち、不動産の価額が10万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置
相続登記をする際、通常は登録免許税を納付しますが、令和3年度の税制改正により、特定の条件を満たせば、相続された土地の登録免許税が免除されます。
免税措置を受けるためには以下の条件を満たす必要があります。
① 土地の相続(相続人に対する遺贈も含む)であること(※建物は対象外)
② ある相続人が土地の相続登記をする前に亡くなった後、当該相続人からさらに当該土地を相続すること(いわゆる二次相続)
③ 令和4年3月31日までに登記申請を行うこと
④ 申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載すること
上記②の要件は、例えば、土地の登記名義人となっているAからBが当該土地を相続し、Bが自分名義に相続登記をする前に亡くなり、Cが当該土地をBから相続した場合がこれにあたります。
このようなケースで上記①~④の条件を満たせば、AからBに当該土地が渡った際に必要となる登録免許税が免除されることになります。なお、BからCへの相続するための移転登記に関しては上記特例の適用はありません。
また、「市町村の行政目的のため相続による土地の所有権の移転の登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地」については、法務局のサイトに掲載されています。
免税措置の詳細は法務局サイトでも確認することができます(法務局|相続登記の登録免許税の免税措置について)。申請書の書式や記載例は、上記サイトで確認しましょう。
4.登録免許税の納付方法
登録免許税の納付方法には、現金と収入印紙の2通りがあります。
現金で納付する場合は、金融機関で登録免許税の納付書に必要事項を記入して窓口に提出し、登録免許税に相当する金額を納付し、領収書を受領します。
「登録免許税納付用台紙」(所定の用紙でなくてもA4サイズのコピー用紙で構いません)の中央部分に領収書を貼付し、登記申請書に押印したものと同じ印で1か所契印して、登記申請の際に一緒に登記所に提出します。
収入印紙で納付する場合も同様に、「登録免許税納付用台紙」の中央部分に収入印紙を貼付します。消印(割印)は不要です。
収入印紙は、お近くの郵便局で購入できます。また大きな登記所では、所内に印紙売場があります。
相続登記には期限がないため、登録免許税にも期限は設けられていません。
しかし、固定資産評価証明書に記載された不動産の評価額を基準に登録免許税の納付を行う場合、その固定資産評価証明書が発行された年度内(4月1日~翌年3月31日まで)に納付する必要があります。
5.まとめ
登録免許税は、登記の時に必ず納めなくてはならない税金です。計算方法など、上記説明を参考にして下さい。
また、不明な点は各法務局にある相談窓口に問い合わせることもできます。相談窓口では、相続登記に関する相談を無償で受け付けてくれます。是非、有効活用して下さい。
相続不動産に係る登録免許税などにつき、ご不明なことや不安がありましたら遠慮なくご相談ください。相続専門税理士法人ともには相続税でお困りの方に向けて初回無料でご相談を承っております。
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