新宿、銀座、小田原の
相続税専門税理士

受付時間 9:00~18:00(年中無休)

親御さんが亡くなった時、何をどう手続きすればよいのか、わからない方は多いでしょう。一生のうちに何度も経験されることではないですし、ただでさえ気が動転している中で、迷われるのは当然と言えます。

税理士法人ともにでは、相続についてのご相談を毎日承っておりますが、一番多い事例が実の親がお亡くなりになった方からのご相談です。相談全体の80%以上を占めます。

そこでこの記事では最も相談を受ける事が多い、相談者様の親がお亡くなりになったケースに絞り、どういった手続きが必要になるのかわかりやすく説明していきます。

親が死亡した時に必要な手続きには、死亡してすぐに必要な手続き、段階的に必要となる手続き、特に期限はないがしないと損する親の死亡後に必要な手続きがあります。

目次

親の死亡後に必要となる手続きのすべて

親の死亡後すぐに必要な手続き
・ 死亡診断書の取得
・ 死亡届の提出
・ 死体埋葬火葬許可証申請
・ ご葬儀

親の死亡後に段階的に必要となる手続き
・ 公的年金の手続き
・ 公的医療保険の手続き
・ 世帯主変更届の手続き
・ 遺言書の調査
・ 遺言書の検認申立
・ 相続人の調査
・ 相続財産の調査
・ 相続放棄・限定承認
・ 遺産分割協議
・ 遺産分割協議書の作成
・ 遺産分割後の相続手続(遺産の名義変更等)
・ 相続税の申告・納付手続き
・ 遺留分侵害額の請求
・ 準確定申告(故人の所得税申告手続)
・ 生命保険金の請求

期限はないがしないと損する親の死亡後に必要な手続き
・ 金融機関への死亡の連絡
・ 遺産分割前の銀行預金の払戻し
・ 公共料金など各種サービスの変更手続き
・ 各種給付金の申請手続き

それでは順番に解説していきます。

親が死亡してすぐに必要となる手続き

まずは親が亡くなってすぐに必要となる手続きを解説します。大切なご家族が亡くなり落ち着かない中ですが、ご葬儀を執り行うためにも必須の手続きです。

・ 死亡診断書の取得
・ 死亡届の提出
・ 死体埋葬火葬許可証申請
・ ご葬儀

死亡診断書の取得

親が亡くなったら、すぐに死亡診断書を取得してください。死亡診断書とは人の死亡を医学的・法律的に証明する書類で、医師から交付してもらいます。死亡診断書は、死亡届と同じ用紙です。右側が死亡診断書、左側が死亡届となっています。両者揃って初めて死亡の届出ができます。また、死亡診断書はその後の手続きでも必要となる場合があるので5枚程度はコピーを取っておいたほうが安心です。

死亡届の提出

死亡届は死亡診断書と同じ用紙です。同一の用紙の左側が死亡届となります。死亡届は亡くなった方の遺族が記入します。

死亡届の提出先は、以下3つのうち、いずれかの市区町村役場です。

・亡くなった方の死亡地
・亡くなった方の本籍地
・死亡届作成者の居住地

死体埋葬火葬許可の申請

死亡届の提出と同時に、死体火埋葬許可の申請手続きを行います。死体火埋葬の許可申請により死体火埋葬許可証が交付され、火葬・埋葬できるようになります。

役所への死亡届の提出と死体火埋葬許可の申請手続きは、葬儀社に代行してもらうことも可能です。いずれにしても申請時に死亡届の「届出人」署名捺印欄の押印に使用した印鑑が必要になります。

ご葬儀

死亡した方の葬儀は必須ではなく、期限もありません。しかし、ご遺体の保存可能な期間には期限があり、長くても2週間程度しか保存できません。ご遺体の保存を考えると火葬は早いほうがよく、葬儀をする場合は死亡後7日目までに行う方が多いです。

葬儀を葬儀社に依頼した場合は、お通夜、お布施、戒名料、読経料、火葬・納骨費用等を含む葬儀費用については相続財産から控除できます。葬儀にいくらかかったかは、今後納付が必要な相続税額に影響しますので、領収書等をしっかり残しておきましょう。

親の死亡後に段階的に必要となる手続き

ご葬儀を済ませた後にも、期限内にやらねばならない手続きが数多くあります。相続が始まり、1年以内に済ますべき手続きは次のとおりです。

・ 公的年金の手続き
・ 公的医療保険の手続き
・ 世帯主変更届の手続き
・ 遺言書の調査
・ 遺言書の検認申立
・ 相続人の調査
・ 相続財産の調査
・ 相続放棄・限定承認の手続き
・ 遺産分割協議
・ 相続税の申告・納付手続き
・ 遺留分侵害額の請求
・ 準確定申告(故人の所得税申告手続)

それでは公的年金の手続きから順番に解説します。

公的年金の手続き

公的年金の手続きですが、亡くなった親御さんが加入していた公的年金が、国民年金か厚生年金か、さらに加入中の年金を受給中だったかどうか、によって手続きは異なります。各ケースでの手続きをそれぞれ詳しく見てみましょう。

公的年金の手続き1 死亡した方が既に年金を受給中だった場合

国民年金や厚生年金に加入しており、かつ年金を受給中だった方が死亡すると、それまで受け取っていた年金を受けとれなくなります。死亡後はすぐに「年金受給権者死亡届」を年金事務所または年金相談所に提出して、受給を止めなくてはなりません。

ただし、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)を収録済みの方は、年金受給権者死亡届提出の必要はないです。

年金受給権者死亡届の提出期限は、加入していた年金の種類で異なり、以下のようになっています。

年金受給権者死亡届を出さないと年金の支払いが続き、不正受給とされるリスクがあります。注意してください。

年金受給権者死亡届の提出には次の書類が必要です。

・死亡された方の年金証書
・死亡の事実を明らかにできる書類
(例)・戸籍抄本
   ・市区町村役場に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピー
   ・死亡届の記載事項証明書

・死亡された方の年金証書 ・死亡の事実を明らかにできる書類

(例) ・戸籍抄本 ・市区町村役場に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピー ・死亡届の記載事項証明書

公的年金の手続き2 年金を受給せずに亡くなった場合

亡くなった親御さんが会社員や公務員で、厚生年金加入中かつ未受給の場合は、5日以内に勤務先が年金事務所に対して「厚生年金保険被保険者資格喪失届」を提出しなければなりません。

故人が勤務していた組織の速やかな手続きを進められるよう、なるべく早く死亡の事実を伝えましょう。

配偶者の年金種別変更手続き

死亡した親御さんの年金加入状況、家族状況が以下に該当する場合、死亡した親御さんの配偶者は、加入する年金の種別を国民年金に変更する必要があります。

・死亡した人が厚生年金に加入していた
・死亡した人が配偶者を扶養していた
・死亡した人の配偶者が20歳以上60歳未満

年金の種別変更手続きの期限は14日以内です。年金の種別変更は、将来受給できる年金額に影響する可能性があります。できるだけ速やかに担当の年金事務所または年金相談所へ問い合わせて、早めに手続きを済ませましょう。

亡くなった親御さんが自営業者などで国民年金保険に加入中の場合、問い合わせ先は親御さんの住所地の市区町村役場となります。

公的医療保険の手続き

次に公的医療保険(健康保険)の手続きについて解説します。亡くなった親御さんが加入していた健康保険の種別により、手続きが若干異なります。順番に解説しましょう。

種別1 健康保険組合または協会けんぽの手続き

亡くなった親御さんが健康保険組合の組合健保や協会けんぽに加入していた場合は、厚生年金保険と同様に、勤務先の会社が5日以内に資格喪失届を年金事務所に提出しなければなりません。亡くなった方の勤務先に対しては、なるべく早く死亡の連絡をしましょう。この時、健康保険証も勤務先に返還します。

種別2 国民健康保険の手続き

亡くなった親御さんが国民健康保険に加入していた場合は、市区町村役場で資格喪失手続きをします。この時、国民健康保険証は市区町村役場へ返還します。

種別3 後期高齢者医療制度および介護保険の手続

亡くなった親御さんが後期高齢者医療制度、介護保険の加入者だった場合は市区町村役場で資格喪失手続きをします。この時に保険証と介護保険証も返還します。

ご自身の健康保険の種別変更手続き

ご自身が、亡くなった親御さんの健康保険の扶養に入っていた場合には、ご自身の健康保険の種別変更をしなくてはなりません。これまでの健康保険証は使えなくなります。健康保険証を使って医療サービスを受けるためには早めの対応が必要です。

種別変更の方法は、ご自分で国民健康保険に加入するか、どなたかの健康保険の被扶養者となるか、です。国民健康保険に加入する場合は、死亡から14日以内に市町村役場に届出する必要があります。

世帯主変更届の提出

世帯主変更届の提出は、健康保険証の世帯主欄と被保険者証番号を変更するための手続きです。亡くなった親御さんが世帯主であり、同一世帯内に他の国民健康保険加入者がいる場合に必要になります。

ご夫婦だけの世帯でどちらかが亡くなった場合などの、構成人数が2人以下の世帯の場合は、世帯主変更届は必要ありません。

世帯主変更届の提出に必要なものは以下です。

・世帯内の他の方の健康保険証
・世帯内の他の方の印鑑

次に、亡くなった親御さんの財産の相続に関わる手続きを見ていきます。

遺言書の調査

相続にあたり、まずは遺言書があるかどうかを調査します。遺言書は、亡くなった方の財産の相続の元となる文書です。遺言書がある場合、遺言書の内容が優先され、相続人へ遺産が引き継がれます。遺言書がない場合は、亡くなった方の財産は法定相続人が引き継ぎます。法定相続人が複数いる場合は、民法の規定に従って、法定相続人全員による遺産分割協議で決めることになります。

以下はおおまかな相続手続きの流れです。

遺言書の調査

遺言書の検認

相続人の確定

相続財産の調査

遺産分割協議

遺産分割協議書作成

相続

となります。

遺産分割後に行う相続税の申告と納税は、相続が開始してから10ヶ月以内に済ませなくてはなりません。相続放棄や限定承認をする場合には3ヶ月以内に終わらせる必要があります。

相続放棄や限定承認、相続税の申告と納税については後で解説します。

遺言書の検認申立

調査して遺言書が見つかった場合には「遺言書の視認」が必要です。

遺言書には、大きく分けて自分で書いた「自筆証書遺言」と、公証役場で作成する「公正証書遺言」があります。

公正証書遺言以外の「自筆証書遺言」が見つかった場合は、勝手に開封したり、形状や状態を変えたりしてはいけません。直ちに、死亡された方の最終住所地を管轄する家庭裁判所で検認申立の手続をする必要があります。公正証書遺言ではこの手続は必要ありません。

検認は遺言書の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、状態、内容などを明確にして改ざんなどを防ぐために必要な手続きです。

ただし遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。遺言書が封入されている/いないにかかわらず、検認が必要です。

検認申立を行うと、家庭裁判所から各相続人へ検認期日が通知されます。検認当日の家庭裁判所では、出席した相続人の前で遺言書の開封と確認が行われます。

検認申立の流れ
遺言書の開封と確認

検認済証明書の申請

検認済証明書が交付される

検認済証明書を遺言書に添付する

検認申立は以上の流れになっています。

検認済証明書が添付されていない遺言書では、預貯金や不動産などの名義書換もできません。名義書換をするためにも、必ず検認手続きを行いましょう。

ただし、法改正により2020年7月から「法務局での保管制度」が開始されます。法務局での保管制度を利用すれば、自筆証書遺言でも検認は必要なくなります。

相続人の調査

遺言書がない場合には、遺産分割協議で遺産分割を行います。遺産分割協議は相続人全員で実施せねばなりません。このため、まず相続人を調査して、遺産分割協議に参加する相続人を確定する必要があります。

遺産分割協議後に、遺産分割協議に参加していない相続人がいることが判明した場合、その遺産分割協議は無効になりますので要注意です。

相続人を確定するためには、亡くなった親御さん(被相続人)が生まれてから死亡するまでの、すべての戸籍をたどって被相続人の親族関係を確認する必要があります。

具体的な相続人の確認手順は以下です。

  1. 被相続人の最後の戸籍謄本を本籍地の市区町村役場で取得します
  2. 取得した戸籍謄本から順次さかのぼって出生までの戸籍謄本をすべて取得します
  3. 取得した戸籍謄本をもとに相続人を確定します
以上の方法で、全ての相続人を明らかにします。

相続財産の調査

次に相続財産を調査して、財産が存在するのか明らかにします。相続財産には、亡くなった親御さんの借金などマイナスの財産も含まれます。相続では、プラスの財産のみを相続することはできません。相続財産には一般的に次のものがあります。

まずプラスの財産の例です。

プラスの相続財産の例
・現金・預貯金
・株式・国債・金融債
・土地・建物などの不動産
・借地権・借家権
・死亡した方が受取人の生命保険金※
・ゴルフ会員権
・宝石・骨董品
・自動車
・売掛金・貸付金
・その他金銭に換算できるすべての財産
次にマイナスの財産の例です。
マイナスの財産の例
・借金・各種ローン
・保証債務
・損害賠償債務
・未納の税金
・買掛金
・未払いの医療費

相続財産として、上記のものが存在するかどうか、被相続人である親御さんの自宅、スマホやパソコン、郵便物、通帳、各種証書を調べたり、取引先の金融機関等へ問い合わせたりして確認します。

相続財産のうち不動産については、固定資産税の納税通知書(課税明細書)から、被相続人名義の不動産を把握することができます。

相続放棄・限定承認の手続き

相続財産には、プラスの財産も、借金などのマイナスの財産も含まれます。特に何もしなければ、マイナスの財産を含めたすべての相続財産を相続することとなります。このような何もしない相続を「単純承認」と言います。

しかし多額の借金や滞納した家賃などのマイナスの財産があり、相続財産すべてを無条件に相続したくない場合もあるでしょう。このような場合には「相続をしない」という選択肢も選べます。「相続をしない」ために選べる方法が「相続放棄」「限定承認」です。

ただし、相続が始まってから、もしくは相続の開始を知ってから3ヶ月(熟慮期間)が経過すると、相続放棄・限定承認はできません。何もしないまま3ヶ月の熟慮期間が経過してしまうと、単純承認したとみなされます。

ここで、「相続放棄」「限定承認」について詳しく解説します。

相続放棄

・相続放棄とは相続財産を「一切」相続しないという意思表示 ・相続放棄するには、相続が始まってからもしくは相続の開始を知ってから3ヶ月以内に、死亡した人の最終住所地の家庭裁判所へ相続放棄の申述手続きをする ・相続放棄は単独でできるが原則として撤回はできない ・相続の開始前にあらかじめ相続放棄することはできない

限定承認

・限定承認とは「相続財産の範囲内で被相続人の債務を相続する」こと ・限定承認ではマイナスの財産とプラスの財産を合算し、プラス分のみ相続する ・限定承認は相続人全員で行う ・限定承認するためには、相続が始まってからもしくは相続の開始を知ってから3ヶ月以内に、相続人全員で死亡した人の最終住所地の家庭裁判所へ行き、限定承認の申述手続きをする

相続放棄を行うと、相続人ではなくなります。つまり相続放棄をした場合は、被相続人の財産を一切相続しないということです。

相続放棄があると、法定相続人の範囲も変わります。相続放棄した元相続人が、亡くなった方の生命保険金や死亡退職金の受取人になっている場合は、相続放棄しても受け取ることができます。しかし相続人ではないため、相続人に与えられている相続税の非課税枠は適用されません。

実は相続放棄・限定承認ができる「3ヶ月以内」という期限は、事情により期間を延長してもらえます。期間を延長してもらえる例は、相続財産の調査がなかなか進まず債務の状況が明らかにならない場合などです。ただし期間延長の申立は、3ヶ月の熟慮期間中に実施する必要があります。

相続手続きの流れについて、遺言書の調査・検認→相続人の確定→相続財産の調査の順に解説しました。解説は順番にしましたが、実際の各作業は順番ではなく、同時に進めるのがおすすめです。

その理由は、相続財産の状況によっては、相続放棄・限定承認する方がよい場合があり、相続放棄・限定承認には期限があるからです。

前項で解説したとおり、相続放棄・限定承認は、自身に相続があったことを知った日から「3ヶ月以内」に行うように定められています。つまり時間が限られているので、急がねばならないのです。

遺産分割協議

次に遺産を相続すると決まった時の遺産分割協議について解説します。

相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議を開始します。遺産分割協議はすべての相続人で行う必要があります。ただし、必ずしも一堂に会して行う必要はないです。メールや電話などを使っても問題ありません。すべての相続人の合意に基づいた遺産分割協議であればよいです。

ただ現実には遺産分割協議でもめるケースは多々見られます。遺産分割協議自体には期限の定めはありません。しかし相続税の申告・納税は「10ヶ月以内」に済ませる必要があります。期限内に協議がまとまる見込みがない場合は、速やかに専門家へ相談しましょう。

遺産分割協議がまとまらない場合には「遺産分割調停」を申立て話し合いを進めます。遺産分割調停しても、まとまらない場合は「遺産分割審判」を申し立てることになります。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書は、遺産分割についての相続人間での合意を証明するものです。遺産分割協議がまとまったら、すべての相続人の合意を証明する「遺産分割協議書」を作成します。

後日のトラブル防止や名義変更などの手続きをスムーズに行うために、遺産分割協議書には「誰がどの財産をどれくらい相続するか」を明確に記載する必要があります。相続人各自が相続する財産が正確に特定できるようわかりやすく記載しましょう。

遺産分割協議書は、相続人全員の分を作成し、相続人各自が1通ずつ保管するのがおすすめです。1通ずつ持つことにより、相続人各自が遺産分割協議書を利用して、必要な相続手続きを単独で進められます。

遺産分割協議書には、相続人全員が押印します。押印に使う印鑑については特に定められていません。しかし、相続の結果発生する不動産の相続登記には、実印による押印が求められます。不動産の相続登記を見据えて遺産分割協議書も実印で押印した方が都合が良いでしょう。遺産分割協議書には印鑑証明書も添付します。

遺産分割後の相続手続

検認を済ませた遺言書および遺産分割協議によって相続する財産が確定したら、できるだけ早く相続手続を行い、トラブルを回避しましょう。

具体的な相続手続きには、預貯金や株式の名義変更、不動産の相続登記、現金・骨董品・美術品・貴金属の受取、ゴルフ会員権の解約出金や名義変更などがあります。

各相続財産の名義変更には、遺言書または遺産分割協議書と自分が相続人であることを証明する資料(戸籍謄本など)が必要です。

骨董品や美術品、貴金属など現物の動産である相続財産は、相続人が適宜引き取ることで終了します。

では相続財産の中で「銀行預金」を相続した場合の名義変更手続きについて、具体的な手順を見てみましょう。

相続財産名義変更の例(銀行預金)

銀行預金を相続する場合には、以下のような書類を求められます。必要書類は金融機関によって多少違いがありますので、実際に名義変更する前に、担当の金融機関に問い合わせて必要な書類をご確認ください。

銀行預金の名義変更には、状況により3つのケースがあります。

銀行預金の名義変更ケース1 遺言書がある

ケース1は遺言書がある場合です。遺言書の内容によって手続きや必要書類が異なります。遺言書および遺言書の検認を確認できる書類が用意できた段階で、取引金融機関に名義書換の方法を相談すると良いでしょう。
遺言書がある場合に銀行預金の名義変更に必要な書類の例
・遺言書 ・検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の場合) ・被相続人の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が確認できるもの) ・預金を相続される方(遺言執行者がいれば、遺言執行者)の印鑑証明書 ・遺言執行者の選任審判書謄本(裁判所で遺言執行者が選任されている場合)

銀行預金の名義変更ケース2 遺産分割協議書がある

ケース2は遺産分割協議書がある場合です。
遺産分割協議書がある場合に銀行預金の名義変更に必要な書類の例
・遺産分割協議書
(法定相続人全員の署名・捺印があるもの)
・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
(出生から死亡までの連続した戸籍謄本など)
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書 ・相続人全員の印鑑証明書

銀行預金の名義変更ケース3 遺言書・遺産分割協議書がない

ケース3は遺言書も遺産分割協議書もない場合です。
遺言書も遺産分割協議書もない場合に銀行預金の名義変更に必要な書類の例
・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続した戸籍謄本など) ・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書 ・相続人全員の印鑑証明書
銀行預金が相続財産にあった場合に必要になる書類の例をご紹介しました。

相続税の申告・納付手続き

相続財産の分割が終わり、各自の相続財産の名義変更手続きが済んだら、次にやるべきことは相続税の申告と納税です。相続税の申告と納税は相続が始まってから10ヶ月以内に済ませなくてはなりません。期限を過ぎると延滞税がかかり納める税金が増えるので、注意が必要です。

ただし相続税には基礎控除や各種控除があります。相続財産が基礎控除額の範囲内なら、相続税はかからず、申告手続も必要ありません。相続税の基礎控除と各種控除のうち配偶者控除について解説します。

相続税の基礎控除

基礎控除は法定相続人対して認められた控除です。
相続財産が基礎控除の金額内に収まれば、納税の必要はありません。

相続税の配偶者控除

配偶者控除は、被相続人の配偶者に認められた控除です。配偶者は「相続人」には含まれません。配偶者控除は、以下の金額のいずれか高い方までが使えます。
もしくは
1か2いずれか金額が高い方までが控除されます。ちょっとわかりにくいかもしれませんので、2の具体例を挙げます。
2.配偶者の法定相続が1億6,000万円以上で法定相続に相当する金額である例
被相続人の財産が5億円だった  ↓ ・配偶者の法定相続分は½と定められている ・5億円✕½=2億5,000万円  ↓ 配偶者の法定相続額は2億5,000万円

上記のケースでは、法定相続額は2億5,000万円です。配偶者控除の1億6,000万円と比較すると法定相続額の方が大きいです。このケースでは法定相続額の2億5,000万円までは相続税がかからず済みます。

基礎控除、配偶者控除の他にも各種控除があります。基礎控除と様々な控除を活用すると相続税がかからなくなる場合があります。

ただし基礎控除を超える相続財産がある場合は各種控除を活用して相続税がゼロになる計算であっても、相続税を申告しなくてはなりません。

また配偶者控除を受けるためには相続税がかからなかったとしても、相続税の申告をしなくてはなりません。申告が必要なのに申告していなかった場合、後に追徴課税を受ける可能性があります。

期限のある相続税の申告で悩まないためには、相続が得意な税理士法人に相談するのがおすすめです。

遺留分侵害額の請求

遺言書に「全財産を特定の人に譲る」と記入してあった場合は、故人の意思を重んじます。しかしそれだけでは「特定の人」からはずれた法定相続人の生活が、突然立ち行かなくなる恐れがあります。

このため一定範囲の法定相続人(配偶者、子および子の代襲相続人、父母)に対しては、遺留分として、相続財産の一定割合の相続が保障されています。法定相続人は、遺言により財産を相続した人に対して、遺留分侵害額の請求をすることができます。

<参考>遺留分侵害額の請求の見直し

2018年の法改正で遺留分制度が見直され、改正前の「遺留分減殺請求権」によって生じる権利は「金銭債権」となりました。改正された法律の施行開始は2019年7月1日です。

見直しにより「遺留分侵害額」は「遺留分侵害額に相当する金銭で請求」できるようになりました。遺留分を持つ法定相続人は、遺言で財産を取得した人に対し、遺留分を金銭で支払うように要求できます。

遺留分侵害額の請求権は、相続開始および遺留分の侵害を知った日から1年、相続の開始を知らなかった場合でも相続の開始から10年を過ぎると時効で消滅します。ご注意ください。

準確定申告(故人の所得税申告)

亡くなった親御さんが、事業を行なっていた場合や2,000万円超の給与収入を得ていた場合は確定申告が必要です。

相続人および包括受遺者(遺言によって相続財産を包括的に引き継ぐことになった人)は原則として4ヶ月以内に、死亡した方の所得について確定申告をしなくてはなりません。これを準確定申告といいます。

準確定申告ではまず、その年の1月1日から亡くなった日までの所得を申告します。さらに亡くなったのが3月15日までならば、前年分の確定申告が済んでいるかどうか確認します。済んでいなければ前年分も申告します。申告だけでなく納税義務もあります。納税期限の4ヶ月を過ぎても支払っていない場合は延滞税が発生します。      

相続人が2人以上いる場合は、各相続人が連署により準確定申告書を提出します。または各相続人が別々に提出することも可能です。別々に提出する場合は、他の相続人の氏名を付記し、他の相続人に対しては申告した内容を通知しなければなりません。     

準確定申告では各種所得控除が使えます。適用可能な所得控除は以下のとおりです。

<医療費控除>

控除できる医療費は死亡の日までに被相続人が支払った医療費でなくてはなりません。死亡後に相続人等が支払ったものは、医療費控除には含められません。

<社会保険料・生命保険料・地震保険料控除>

死亡の日までに被相続人が支払った各保険料を控除対象にできます。

<配偶者控除・扶養控除>

被相続人が亡くなった後にその配偶者や扶養家族は配偶者控除・扶養控除が使えます。使うためには配偶者控除・扶養控除の要件を満たしているか判定が必要です。判定は配偶者のその年の1月1日から12月31日までの合計所得金額を見積もって判定します。判定後に偶発的な事由により配偶者に所得が発生したとしても、それはこの判定に影響を与えません。

生命保険金の請求

亡くなった親御さんを被保険者とする生命保険の保険金は、保険の受取人が保険会社へ請求すれば受け取れます。生命保険金の請求には、保険証書の他に死亡診断書等の書類が必要です。

受け取った生命保険金は、相続税の課税対象となりますが、一定額が非課税となります。

保険金請求権には時効があります。なので忘れず早めに請求しましょう。時効期間は3年で、かんぽ生命の場合はは5年です。保険請求権の時効は保険法第95条で定められています。

早めにやった方がいい親の死亡後に必要な手続き

ここからは、特に期限は定められていませんが、早めにやった方がいい相続手続きについて解説します。早めにやった方がいい手続きには、以下のものがあります。

・ 金融機関への死亡の連絡
・ 遺産分割前の銀行預金の払戻し

金融機関への死亡の連絡

親が亡くなったら、親の口座がある金融機関に対して亡くなった旨を連絡しましょう。死亡した方名義の口座で不正な取引を防ぐためにも、速やかに連絡して口座凍結の手続きをする必要があります。金融期間に連絡をして口座が凍結された後の預金は相続財産となります。相続財産となった銀行預金は、遺産分割が完了するまでは、相続人であっても単独では引き出せません。

未払いの医療費や家賃・葬儀費用の支払いや各種自動引落などに親の預金を使いたい場合は、金融機関への連絡のタイミングは考えた方がよいです。

また、実情を考慮し、2019年7月に法改正がありました。

遺産分割前の銀行預金の払戻し

2019年7月の法改正により、遺産分割前の相続預金を払戻しできる「遺産分割前の銀行預金の払戻し制度」が設けられました。改正の理由は、各相続人が遺産分割終了前に、当面の生活費や葬儀費用を支払うためのお金が必要になることがあるからです。

払戻には

があります。順番に解説します。

家庭裁判所の判断による払戻し

家庭裁判所の遺産分割調停や審判により、相続預金の全部または一部を仮に取得し、金融機関から単独で払戻しを受けられます。

単独で払戻しができるのは、家庭裁判所が認めた金額までです。

払戻しを受けるためには、下記の書類を準備しましょう。

家庭裁判所の判断による払戻しに必要な書類
・家庭裁判所の審判書謄本 ・預金の払戻しを希望される方の印鑑証明書

家庭裁判所の判断を経ない払戻し

各相続人は、相続預金のうち自らの法定相続分の3分の1相当の金額については、家庭裁判所の判断を経ずに単独で払戻しを受けられます。

ただし、払い戻し可能な金額は、金融機関ごとに150 万円が上限です。同じ金融機関に複数の口座がある場合は、全口座合計で上限150万円までです。

払戻しを受けるためには、下記の書類を準備しましょう。

家庭裁判所の判断を経ない払戻しに必要な書類
・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
(出生から死亡までの連続した戸籍謄本など)
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書 ・預金の払戻しを希望される方の印鑑証明書
金融機関によって必要書類に差があります。最新の内容は取引金融機関に問い合わせましょう。

期限はないが、しないと損する親の死亡後に必要な手続き

最後に、期限は設けられていませんが、親の死亡後にやっておかないと損するであろう手続きについて解説します。以下のような手続きがあります。

・ 公共料金など各種サービスの変更手続き
・ 各種給付金の申請手続き

公共料金など各種サービスの変更・解約手続

亡くなった方が利用されていた各種サービスについて、名義変更や支払方法の変更が必要です。各サービスを継続するか検討し必要なら解約手続きをします。

変更や解約が必要なサービスの例を挙げます。確認してみてください。

名義変更や解約を検討すべきサービスの例
・公共料金
(電気・水道・ガス・NHK)
・通信サービス
(固定電話・携帯電話・インターネット回線)
・運転免許証 ・パスポート ・クレジットカード
(銀行系・デパートなど物販系)
・定期購入サービス
(サプリメント・新聞・雑誌)
・有料会員サービス
(各種ネット会員・介護や生活関係・旅行や趣味スポーツ関係)

各種給付金の申請手続き

相続人には、申請すると支給される各種の給付金があります。給付金には次のようなものがあります。

・ 葬祭費
・ 埋葬料
・ 高額療養費
・ 未支給年金
・ 遺族年金その1遺族基礎年金
・ 遺族年金その2遺族厚生年金
・ 遺族年金その3死亡一時金
・ 遺族年金その4寡婦年金

各種給付金は、申請手続きしないと支給されません。各種給付金の申請方法について、ひとつずつ解説します。

葬祭費の申請

国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入している方が死亡したときは、葬祭費(5万円程度)が支給されます。葬祭費の支給手続きは、亡くなった方の住所地の市区町村役場で行います。葬祭費申請手続きの期限は死亡の翌日から2年間です。

手続きには次のような書類が必要です。

・亡くなった方の保険証 ・申請者の印鑑 ・死亡の事実が確認できるもの
(死亡診断書、埋葬火葬許可証など)
・申請者が葬祭を行ったことが確認できるもの
(葬祭費用の領収書(原本)など実施日が確認できるもの)
・申請者の本人確認ができるもの
(運転免許証など)
・申請者の金融機関口座通帳(または振込口座のわかる書類) ・死亡された方のマイナンバーが確認できるもの

埋葬料の申請

健康保険組合・協会けんぽに加入している方が死亡した時は、埋葬料(5〜10万円程度)が支給されます。埋葬料の支給を受けるためには、亡くなった方の健康保険組合へ問い合わせましょう。埋葬料の支給手続きの期限は、死亡の翌日から2年間です。

高額療養費の申請

高額療養費制度とは、重い病気などで病院等に長期入院した場合や、治療が長引いて医療費の自己負担額が高額となった場合に、一定の自己負担限度額を超えた医療費について、払い戻しを受けられる制度のことです。

高額療養費の支給の基準となる「自己負担限度額」は、年齢と所得で決まります。保険外診療や食事代、差額ベッド代などは高額療養費支給の対象外です。

亡くなった方の医療費が高額になっている場合は、払戻しが受けられるかどうか、加入していた健康保険へ問い合わせてみましょう。高額療養費の払戻し手続きの期限は死亡の翌日から2年間です。

未支給年金の請求

国民年金や厚生年金を受給していた方が亡くなったとき、まだ受け取っていない年金や死亡日より後に振込まれた年金のうち亡くなった月の分までの年金は、法律で定められた遺族が受け取ることができます。未支給年金を受け取るためには、亡くなってから5年以内に年金事務所または年金相談所へ請求してください。

未支給年金の請求ができる遺族は、亡くなった方と死亡当時に生計を同じくしていた遺族です。未支給年金の支給を受けられる遺族には優先順位があります。優先順位は故人との続柄で決まっています。

未支給年金は相続財産ではなく、受け取った方の一時所得に該当します。一時所得は確定申告が必要になる場合があります。確定申告が必要になるのは、受け取った未支給年金を含めた年間の一時所得金額が50万円を超える場合です。 

遺族年金の請求

亡くなった方に、一定条件が当てはまる遺族がいる場合、遺族年金を受け取ることができます。遺族年金を受給するには、死亡後5年以内に年金事務所または年金相談所へ受給申請が必要です。

遺族年金には、遺族基礎年金、遺族厚生年金、死亡一時金、寡婦年金があります。

遺族年金その1 遺族基礎年金

遺族基礎年金は、自営業者など国民年金に加入中の方が亡くなった時、亡くなった方に養育されていた18歳未満の子ども※を持つ配偶者または子ども自身が受け取ることができます。
(※子どもに障害がある場合は20歳未満}

故人に配偶者がいても、18歳未満の子どもがいない場合は遺族基礎年金は受給できません。

遺族年金その2 死亡一時金

遺族基礎年金が受給できない場合でも、亡くなった方が一定期間国民年金の保険料を納めていて、老齢基礎年金や障害年金を受給していなかった場合には、遺族は「死亡一時金」を受け取ることができます。

死亡一時金を受け取れる遺族で優先順位が1番高いのは配偶者です。故人に配偶者がいない場合には、他の遺族が請求可能です。他の遺族にも優先順位がありますので、請求できるのは優先順位順となります。

死亡一時金の請求期限は亡くなってから2年以内です。

遺族年金その3 寡婦年金

このほか亡くなった方と「婚姻関係が10年以上ある」といった一定の要件を満たした60歳〜65歳の妻は「寡婦年金」が受給できます。

「遺族基礎年金」および死亡一時金」と「寡婦年金」はどちらか一方のみしか請求できません。

遺族年金その4 遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金保険に加入中または過去に加入していた方が亡くなり、その方に養育されていた遺族が受け取れる年金です。

遺族厚生年金の場合は、遺族基礎年金と異なり、子どものいない配偶者も受給対象となります。配偶者の他にも一定の遺族の方が請求できますが、優先順位があります。

遺族厚生年金は、他の公的年金を受給しても請求できる場合があります。早めに年金事務所または年金相談所へ相談しましょう。

まとめ:親が死亡した後の相続手続きについて何でもご相談ください

親が亡くなった後、必要になる相続の手続きについて、順を追って解説しました。親御さんが亡くなった時、相続の知識が少ない遺族だけで手続きを進めるのは大変な作業です。もし、自分達だけで手続きしようとして行き詰まったら、ぜひ専門家にご相談ください。

相続手続きに慣れた専門家が対応すると、時間もコストも少なく済みます。税理士・会計士・弁護士など専門家であっても、相続に慣れていない場合は時間もコストもかかることがあり、期待したパフォーマンスが出ないことがあります。

相続で迷ったらぜひ、ともにグループにご相談ください。ともにグループには相続専門の税理士をはじめ、司法書士、行政書士、弁護士、不動産鑑定士など相続に慣れた専門家が揃っています。初回ご相談は無料でお受けしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※この記事は2020年5月14日時点での一般的な事例を元にご紹介しています。個別の事情や状況の変化により、ご紹介した手続きや必要な書類は異なる場合があります。ご自身で手続きされる際には、改めて各関係機関等で詳細をご確認ください。