マンションでも使える小規模宅地等の特例を相続専門税理士が解説

相続税評価額を80%減額できる「小規模宅地等の特例」は、マンションでも使えるのでしょうか?

この疑問に対する答えは、「条件つきで使える」となります。では、どんな条件で使えるのか?これから本文で解説します。

マンションで小規模宅地等の特例使えるか?

小規模宅地等の特例は「宅地」に使える特例です。戸建て不動産であっても建物部分に特例は適用されません。

マンションについても考え方は同じです。

マンションの敷地部分に使える

被相続人が、自己所有のマンション住まいだった場合は、所有するマンションの敷地権部分に対して小規模宅地等の特例が使えます。

たとえば「パークホーム西新宿506号室」を所有して住んでいたとすると、506号室の敷地にあたる部分に、小規模宅地等の特例が使えます。使える特例は、小規模宅地等の特例の一種である「特定居住用宅地等の特例」です。

小規模宅地等の特例で相続税減額できる相続人は?

被相続人が所有・居住していたマンション区分の敷地は小規模宅地等の特例の対象ですが、実際に適用できるかどうかは相続人次第です。

どんな相続人なら特例を使えるのかを、解説します。

配偶者

被相続人の配偶者が、被相続人が居住していたマンションを相続する場合は、敷地部分に対して小規模宅地等の特例が使えます。

生計同じの同居相続人

被相続人と一緒に暮らし、生計も同じくする親族が相続人となる場合は、マンションの敷地部分に対して小規模宅地等の特例が使えます。

たとえば、子どもが被相続人である親とマンションに同居しており、明確に生活費を分けていなければ、「生計を一にする同居の親族」になります。このような同居の子どもは、相続人として特例適用が可能です。

生計別の”家なき子”相続人

子どもが被相続人とは別に世帯を構えて生活費も別で暮らしている場合は、「家なき子」の条件を満たせば小規模宅地等の特例を使えます。

家なき子とは、被相続人の配偶者・同居親族以外の親族で家を所有していない人のことです。

家なき子と認定される要件は、過去3年以内に家を所有していないなど、細かく決められています。(家なき子の要件について、詳しく知りたい方は『家なき子特例って?小規模宅地の特例を使って、相続税を節税しよう』記事をご参照ください。)

小規模宅地等の特例で相続税減額できない相続人は?

被相続人と宅地側が小規模宅地等の特例適用の要件を満たしていても、相続人の側が要件を満たさない場合は特例適用できません。

どんな場合かというと、以下の両方に当てはまる場合です。

  • ●相続人は被相続人の元から独立し別で生計を立てている
  • ●相続人は自分が所有する持ち家に暮らしている

「賃貸か持ち家か?」の論争はよく沸き起こりますが、小規模宅地等の特例の適用を考えるなら「持ち家ではない方がよい」と言えそうです。

とはいえ持ち家の場合でも、小規模宅地等の特例の適用には「過去3年以内でない」などの例外規定があります。「どこに住むか?どう暮らすか?」は、人生の根幹に関わる問題です。仕事や自分と家族にとって大事なことを考慮して決めるものです。特例の適用が人生の第一目標ではありませんよね。

小規模宅地等の特例が適用できない場合、適用できるかどうかグレーな場合も、相続税を減額する手段はあります。ぜひ専門家にご相談ください。
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事業利用のマンションで小規模宅地等の特例が使えるか

被相続人が、所有するマンションで事業を営んでいた場合は、その敷地部分について特定事業用宅地等の特例が使えます。

ただし以下の要件をすべて満たさねばなりません。

事業利用のマンションで特例適用できる要件

・相続人が事業を継続する
・相続税申告までに売却しない

貸付事業用マンションで特例を使えるか

被相続人が、所有するマンションを貸付けして家賃収入を得ていた場合は、その敷地部分について貸付事業用宅地等の特例が使えます。

ただし以下の要件をすべて満たさねばなりません。

貸付事業用マンションで特例適用できる要件

・相続人が事業を継続する
・相続税申告までに売却しない
・相続開始前3年以内に貸付事業を始めていない

このうち「相続開始前3年以内に貸付事業を始めていない」の項目があるのは、次のような使われ方を避けたいからだろうと推測されます。

・資産家の家族で近々相続が発生しそうな状況になる
・相続開始時に急いで賃貸用マンションを購入する、もしくは未利用の更地に建設する
・相続が始まり特例を利用して相続税を軽減する

小規模宅地等の特例は、資産家の節税のために作られたわけではないでしょう。当局の意図に沿わない利用を回避したい姿勢は理解できます。

小規模宅地等の特例使用での注意点

マンションの相続で小規模宅地等の特例を使うにあたり、以下3点に注意してください。

・相続税申告まで売却しない
・特例が適用できるのはマンションの敷地部分のみ
・小規模宅地等の特例が適用される土地面積には上限あり
 (限度面積を超えた分は税減額されない)

相続申告書に、相続の状況が特例適用を満たしているとわかるよう、明確に記入する必要があります。

小規模宅地等の特例の手続き方法

小規模宅地等の特例を適用するためには、以下の書類を特例が適用されるように作成・準備して手続きしなくてはなりません。

・相続申告書
・特例の申請に必要な書類を添付

書類が整ったら、所管の税務署に申告します。申告後納税が必要な場合は納税して手続き終了です。

以上は、相続人の間で「遺産分割が成立している場合」の手続きの解説です。もし遺産分割が成立していないなら、別の書類が必要です。詳しくは、こちらの小規模宅地等の特例を解説する記事の『遺産分割非成立の場合』の項目をご参照ください。

まとめ

被相続人が所有して居住していたマンションを相続する場合、小規模宅地等の特例を使用し、敷地部分の相続税の減額が可能です。

ただし特例を適用するには、相続する側の相続人も要件を満たさなくてはなりません。この相続人側に要求される要件についても、詳しく解説しています。

小規模宅地等の特例が適用される土地面積には上限があり、限度面積を超えた分については減額されないので、ここにも注意が必要です。

相続するマンションにかかる税金がどのくらいになるのか?特例が適用できるかどうか、微妙な状況で詳細に知りたい‥など、記事をお読みになってもマンションの相続で疑問があるようでしたら、どうぞ遠慮なくご相談ください。
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