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相続放棄を考えている方にとって、相続放棄申述書は必ず作成せねばならない書類です。しかし、いざ作成するとなると、どのような手順を踏んで何をどう書けばいいのかわからない、と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

ご安心下さい。今回は相続放棄申述書の作成が初めての方でも問題なく相続放棄を実行できるように相続放棄申述書の書き方をご説明します。また相続放棄申述書の書き方だけでなく、提出方法や準備すべき書類、作成後の流れなど、あらゆる観点から解説しますので、どうぞ最後までしっかりお読みください。

ちなみに相続放棄の概要については「相続放棄の考え方と実行にあたっての留意点」を解説する記事で説明しております。相続放棄そのものについて詳しく知りたい方はこちらもあわせてお読みくだい。

目次

相続放棄申述書とは

まず相続放棄申述書とはどんなものか解説します。

前提として、被相続人が亡くなった後、その遺産を受け継ぐかどうかは相続する人が自由に決められます。状況によっては一切の遺産を相続したくない、つまり相続を放棄したい場合もあるでしょう。相続放棄したい場合は、家庭裁判所で「相続放棄の申述(しんじゅつ)」という手続きを取れば、相続放棄できます。

「相続放棄申述書」とは相続放棄の申述手続きを行う際に家庭裁判所に提出する書類です。

相続放棄申述書の書き方

では次に「相続放棄申述書」の書き方を解説します。「相続放棄申述書」はどこで入手してどのようなことを書くものなのか、具体的に見ていきましょう。

相続放棄申述書の取得

「相続放棄申述書」を入手するには以下の2つの方法があります。

相続放棄申述書の書式

実際の相続放棄申述書の書式を見てみましょう。記入するページは2ページあり、太枠の中を記入します。

出典:裁判所 相続の放棄の申述書(20歳以上)

裁判所のホームページには、申述書の記入例として、申込人が成人の場合と未成年の場合の2つが掲載されています。

出典:裁判所 相続の放棄の申述書(20歳以上)

この記事では20歳以上の成人の場合の記入例を使用し、詳しい書き方を説明していきますね。

申述人の記名押印

最初の太枠欄である、申述人の記名押印欄には次の3つを記入します。

・管轄の家庭裁判所の名称(申述書を提出する家庭裁判所)
※管轄の裁判所を調べる方法は「相続放棄申述書の提出先」で説明します。

・作成年月日

・申述する人の氏名
氏名を記入後、押印します。ハンコは認印で大丈夫です。実印は必要ありません。

添付書類

申述書を提出する際に添付する書類にチェックを入れて合計通数を記入します。

 ※添付書類については「相続放棄申述書に必要な書類」で説明します。

申述人・法定代理人等・被相続人

申述人や被相続人の個人情報について記載します。申述のために取得した戸籍謄本に記載されている内容をそのまま書いていきます。

申述の趣旨

ここには何も書く必要はありません。あらかじめ相続の放棄をする。と印字されています。

申述の理由

はじめに「※相続の開始を知った日」を記入します。

次に、相続の開始を知った日の根拠理由を1~4の中から選んで〇をつけます。

「相続の開始日」とは、申述人にとって相続が始まったことを知った日を指します。申述人が被相続人の配偶者や子供であれば、多くの場合「1. 被相続人死亡の当日」になるでしょう。1以外の2~4についてはわかりにくいかもしれませんね。ケースとして考えられる事例を下表にまとめましたので参考にしてください。

番号 ケース 参考事例
2 死亡の通知を受けた日 疎遠だったため故人の死亡を後から知った場合
3 先順位者の相続放棄を知った日 先の相続人が相続放棄したことにより、自分に権利がまわってきたことを知った場合
4 その他 ・相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎてから、多額の借金があることを知った場合
・相続財産の調査をしているがまだ確認が終わっていない場合

どうして相続の開始を知った日を書くのでしょうか。それは、相続放棄の手続きは原則として相続の開始を知った日から3ヶ月以内に行うよう定められているからです。

放棄の理由

放棄の理由として記載されている1~5の中から当てはまるものに〇をつけましょう。

借金を引き継がないために相続放棄する場合は「5 債務超過のため。」を選びます。相続放棄をする場合、このケースが多くみられます。

1~5に該当するものがない場合は「6 その他」に理由を書きます。例えば「遺産分割にかかわりたくない場合」が該当します。

相続財産の概略

被相続人が亡くなった時点で所有していた財産(土地・建物・現預金・有価証券)の概略について記入します。ただし、ここに記入するものに正確な数値や金額が求められている訳ではありません。申述する時点で把握できている内容を記入しましょう。

代筆と委任状

相続放棄申述書は原則として本人の自署が必要ですが、代筆が可能な場合もあります。例えば、申述人は相続放棄する意思がはっきりしているけれど、怪我により字が書けないような場合です。こうした場合は代筆でも基本的に問題ないと考えられます。提出の際に、裁判所に正直に事情を説明しておきましょう。

代筆が認められないケースは、認知症のように相続放棄の行為を理解できない申述人の場合です。このような場合は後見人を選任したうえで申述する必要があります。注意してください。

なお、専門家が代理で申述手続きすることも可能です。相続放棄申述書の代理手続きを希望される方は、ともにグループにご相談ください。

相続放棄申述書の提出方法

次に「相続放棄申述書」の提出方法について説明します。

相続放棄申述書の提出先

「相続放棄申述書」は、被相続人の最後の居住地の家庭裁判所に申述します。管轄の家庭裁判所は裁判所のホームページより確認できます。「申述人名」で記入する家庭裁判所名は裁判所ホームページの「裁判所の管轄区域」で確認してご記入ください。

裁判所の管轄区域:https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html

「申述の理由」でも説明したとおり、民法の定めにより、相続放棄申述書の提出期限は「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」です。

相続放棄申述書に必要な書類

「相続放棄申述書」には、戸籍謄本など被相続人と相続放棄をする人の関係を示す書類を添付します。被相続人と相続放棄をする人の続柄によって必要書類が異なりますので、下表を参考にしてください。

「添付書類」の欄でチェックする書類は、以下の書類になります。

相続放棄する人 添付書類
被相続人の配偶者 1.被相続人の住民票除票または戸籍附票
2.相続放棄する人の戸籍謄本
3.被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人の子
またはその代襲相続人※(孫、ひ孫など)
1.被相続人の住民票除票または戸籍附票
2.相続放棄する人の戸籍謄本
3.被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
4.代襲相続人が相続放棄する場合は、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人の父母・祖父母など
(直系尊属)
1.被相続人の住民票除票または戸籍附票
2.相続放棄する人の戸籍謄本
3.被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
4.被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本
5.相続人より下の代の直系尊属で死亡している人の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人の兄弟姉妹
またはその代襲相続人(甥、姪)
1.被相続人の住民票除票または戸籍附票
2.相続放棄する人の戸籍謄本
3.被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
4.被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本
5.被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本
6.代襲相続人が相続放棄する場合は、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍謄本

※代襲相続とは、被相続人より先に相続人が亡くなっている場合に、相続人の子(被相続人からみた孫)や子の子(ひ孫)等が相続財産を受け継ぐ制度のことをいいます。相続財産を受け継ぐ人が代襲相続人です。

相続放棄申述書に必要な費用

相続放棄をする際に必要となる費用は以下のとおりです。

相続放棄申述書提出後の流れ

最後になりますが、財産放棄申述書を裁判所に提出したあとの流れについても確認しておきましょう。

相続放棄の照会書の返送

申述書を提出して数日から2週間程度経つと、家庭裁判所から申述人宛に照会書が送られてきます。

照会書には質問が書かれており、主に以下のような内容です。

照会書の質問に回答し、署名押印した上で裁判所へ返送します。これを返送しないと相続放棄の手続きは完了しません。必ず返送するようにしましょう。

相続放棄申述受理通知書の受取

相続放棄の照会書を返送後、特に問題がなければ「相続放棄申述受理通知書」が郵送されてきます。相続放棄申述受理通知書が届けば、裁判所が相続放棄を認めたこととなり、これで手続きは終了です。

相続放棄した証拠として、この相続放棄申述受理通知書を提示することもあるでしょう。提出を求められた場合は必ずコピーを使用し、原本は保管しておきましょう。受理されたときのみに発行される通知書で、再発行はできないからです。

相続放棄申述受理証明書の取得

前項で説明したように、相続放棄の証明には、相続放棄申述受理通知書のコピーで対応可能です。しかし、相続放棄申述受理通知書のコピーは不動産の相続登記には使えません。不動産の相続登記をするには「相続放棄申述受理証明書」という証明書が必要です。「相続放棄申述受理証明書」は不動産の相続登記時のほか、被相続人の債権者などから提出を求められる場合もあります。

「相続放棄申述受理証明書」を取得するには「相続放棄申述受理証明申請書」を家庭裁判所に提出します。「相続放棄申述受理証明申請書」は、裁判所のホームページから入手できます。

裁判所 その他の申請:https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/syosiki03/index.html

また相続放棄申述受理通知書が郵送されてきた際に、相続放棄申述受理証明申請書が同封されている場合もありますので確認しておきましょう。

相続放棄申述受理証明申請書の申請に必要なものは、下記のとおりです。

まとめ

今回は、初めての方でもわかりやすいように、相続放棄申述書の書き方から相続放棄が完了するまでを、手続きの流れに沿って具体的に解説しました。

このマニュアル通りに申述書を書いて必要な書類が揃えば、問題なく相続放棄ができる内容となっています。ご覧いただいた方の中にも、自分でもやれそうだと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、相続の状況が複雑な場合は、財産の調査や資料集めに時間がかかって難航することもあります。どのような状況でも相続は期限までに対応しなければなりません。また、手続き中に放棄しないほうがよさそうと気づく場合もあります。

相続放棄が裁判所に受理された後は相続放棄を取り消すことはできません。そのため相続放棄は慎重な判断が必要な手続きでもあります。

「いろいろ調べてみたけれど、よくわからない」このようなご心配事やご不明点があるときは、ぜひ早めに専門家にご相談ください。適切なアドバイスはベストな相続手続きに欠かせません。

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