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不動産を相続した場合に相続登記をしなかったらどうなるの?と、相続実務を進める中で、よく質問されます。そんなとき私は「相続登記は義務ではありませんでしたが、司法書士に報酬を払ってでも、絶対にやったほうがいいですよ」と答えています。

なぜ、不動産を相続したら相続登記をしたほうがよいのか?その理由と、2021年に成立した相続登記にまつわる法改正の内容について解説いたします。 

目次

1.なぜ相続登記する必要があるのか

そもそも相続登記とは何でしょう。相続登記とは、相続財産のうち土地や建物など不動産の登記簿上の所有者を、被相続人から相続人に変更する手続きです。相続登記は、相続放棄や相続税の申告などの手続きと違い、期限や罰則がありません。そのため何年か経った後に相続登記をしてもよいですし、そのまま何もせずに放っておくこともできてしまいます。

しかし、相続登記をしない場合のデメリットは大きいです。まず、そのままでは不動産を売却することができません。通常、売買するときは登記簿上の所有者を売主から買主に変更する登記をしますが、相続登記していないとその登記ができません。

また、銀行から住宅ローンでお金を借りて家を立て替えようとするときも、住宅ローンを組むことができません。住宅ローンは通常、担保として自宅に抵当権を設定する登記をするのですが、相続登記をしていないとその登記ができないからです。

つまり、相続登記は、上記のような不動産の売却や担保設定といった処分行為をするにあたり、必ずしなくてならないものなのです。

2.相続登記をしてない土地が引き起こす問題とは

相続登記には前述したように、期限や罰則がありませんでした。他の相続手続きの場合、例えば、相続放棄や限定承認は相続発生を知った時から3ヶ月以内、準確定申告は相続発生を知った日の翌日から4ヶ月以内、相続税の申告は相続発生を知った日の翌日から10ヶ月以内という期限があります。また、準確定申告や相続税の申告は期限を遅れるとペナルティもあります。

しかし相続登記には、相続税申告のような制限がありませんでした。相続から何年か経った後に登記してもいいですし、そのまま何もせずに放っておくこともできました。

こうした制度がつづいた結果、相続登記をせずに放置され、所有者がわからなくなってしまった土地が増えました。2016年の国土交通省の地籍調査によれば、所有者不明の土地は約410万ヘクタールもあるそうです。ちなみに九州の面積が368万ヘクタールです。つまり九州全部よりも大きな土地が、所有者不明で放置されているのです。

所有者不明の土地は今も増え続けており、2040年には北海道の面積に相当する約720万ヘクタールに達するだろう、との予測も出ています。

3.所有者不明の土地は個人も行政も活用できない

所有者不明の土地は、様々な社会問題を生み出します。以下は国土交通省発表の、相続登記の不備による土地活用関連の問題の例です。

・公共事業のための用地取得が進まない

→共有地が相続登記されておらず、多数の相続人が存在する。この複数人存在する相続人の一部が所在不明。そのため用地取得が難しくなっている。

・広場等として利用したい土地があるが作業が進められない

→ 広場等として利用したい土地の所有者がどこにいるか不明。このため、樹木の伐採や利用などの方針を立てられない。

・土地に家電製品等が大量に投棄されているが対処できない

→土地所有者の現住所が不明で所在が把握できない。このため投棄された物品が不法投棄なのか保管しているものなのかの確認ができない。その結果、自治体による処分ができなくなる。

・台風など土砂災害により崩れた急傾斜地への対策工事ができない

→土砂災害により崩れた土地への対策工事は緊急に実施する必要がある。しかしその土地が相続登記されておらず、多数の相続人が存在する。なおかつ一部相続人の特定ができない。そのため土地に対する災害対応に着手できない。

土地の所有者が不明だと、以上のような問題が生まれます。

つまり所有者不明の土地は、個人のみならず行政においても、活用することが困難になってしまうのです。

 

4.相続登記の方法

これまでお話ししたとおり、相続登記をしないと、大きな影響が出ます。では相続登記をするためには何をすればよいのか?それをこの後お話しします。

相続登記の作業手順は、以下の通りです。

自分で相続登記をしたい方のためには、こちらの記事で手順をマニュアル化しています。ぜひ参考にしてください。

相続発生後、すぐに相続登記をすれば、相続人も比較的少ないので、スムーズに進むことが多いです。しかし何代にもわたって相続登記をしていないと、相続権自体がさらに次の世代に引き継がれてしまいます。そうして気がついたときには数十人の相続人が関与する‥といった複雑な事態となることもあります。ここまで複雑になると、相続登記は非常に困難です。

5.2021年相続登記の義務化

日本全体で見ますと、相続登記されない所有者不明の土地が増え続けていることが、社会問題となっています。問題を是正するべく、2021年4月に国会で民法・不動産登記法の改正法案が可決されました。法案は2024年に施行される見込みです。

改正法の概要はこちらの法務省民事局の資料がわかりやすいです。

相続登記に関わる法改正が施行されると、以下の点が変わります。

以上の他に「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が2021年4月に成立しています。要件を満たせば、相続や遺贈により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることができるようになる制度です。これは「土地を相続しないという選択肢もある」と国が示した形です。

相続財産に土地が含まれる場合は、その土地をどう活用するかしっかりと向き合い、相続するならば登記手続きが必須となる時代がやってきました。

まとめ

相続登記をしなかったらどうなるかという疑問について、回答と解説をお届けしました。相続登記が義務化された場合、今まで相続登記をしなかった代償が、自分の代のみならず、子や孫の代におよぶことでしょう。

相続登記は個人でも実行可能です。自分で登記すれば費用を抑えることができます。反面、手続きには手間がかかるので、何回か役所や法務局に行く必要があります。

自分で相続登記をすることが難しいなら、専門家に依頼しましょう。専門家に手続きを依頼すれば、自力で行う場合と異なり、ミスや漏れを避けられます。また相続登記を含めた相続不動産全般の活用法については税理士法人ともにで、ご相談を承ります。お気軽にご相談ください。

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