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よくわからないし、慣れていないし、面倒な「相続手続き」なんてやりたくない!!そんなことを思われる方、実は少なくありません。

では、その面倒な「相続手続き」をしないとどうなるのでしょう?手続きを放置して何か困った事が起こるのでしょうか?デメリットがあるなら具体的なデメリットとは何なのでしょう?

実は相続手続きの中には「この時点までに実行しなくてはならない」という期限付きのものがあります。

そこで、今回は特に注意が必要な、期限付き手続きを中心に、相続手続きをしないデメリットについて詳しく解説していきます。

目次

期限のある相続手続きの種類

相続手続きの中には、下記のように期限が決まっている手続きがあります。

No. 相続手続き 手続きの期限
1 相続放棄
限定承認
自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内
2 遺留分侵害額の請求 遺留分権利者が、遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年以内、または相続の開始があったときから10年以内
3 相続回復請求 相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知ったときから5年以内、もしくは相続の開始があったときから20年以内
4 名義変更 預貯金 預金債権を取得してから5年以内
株式 株主としての権利を取得してから5年以内
不動産 不動産登記に期限は定められていない
生命保険 保険金請求の期限は、支払事由発生したときから3年以内
5 相続税申告 相続の開始があったときから10か月以内
期限が決まっている手続きは、定められた期限までに済まさなければ、手続きができなくなったり、不利益が生じることがあります。

相続手続きの流れ

相続手続きを期限までに済ませないとどうなるか解説する前に、相続手続の流れを簡単にお話しします。

相続手続きとは、亡くなった方(被相続人)の財産を、残された家族が引き継いで分配するまでの一連の手続きのことです。一般的には下記の流れとなります。
手続きの時期
(目安)
手続きの内容
7日以内 死亡届の提出
3か月以内 遺言書の確認
相続人の調査、確定
財産の調査
相続の方法の決定:単純承認
4か月以内 準確定申告(所得税の申告、納付)
10か月以内 遺産分割協議
相続税の申告、納税

相続手続きをしなかった場合のデメリット

先程紹介したように、期限のある相続手続きは5種類あります。これらの期限付き手続きをしなかった場合のデメリットについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

デメリット1:相続の放棄・限定承認ができなくなる

1つめのデメリットは、期限のある手続きの「相続放棄」と「限定承認」ができなくなることです。

相続には「単純承認」「相続放棄」「限定承認」の3つの方法があるのですが、期限内に対応しないと、このうち「相続放棄」「限定承認」ができなくなります。

単純承認とは

亡くなった方の財産、すなわち遺産には、プラスの財産(資産)とマイナスの財産(負債)があります。プラスとマイナスすべての財産が遺産相続の対象です。すべての財産をそのまま相続するのが一般的な相続の方法で、これを「単純承認」といいます。特に何も手続きしないまま3か月が経過すると、単純承認したものとされます。

相続放棄とは

相続放棄とは、資産も負債も含めたすべての遺産を相続しないことです。相続したくない借金だけ相続放棄をするということはできません。資産の価額よりも、借金等の負債の価額が大きい場合に利用されます。なお、この方法は各相続人が他の相続人の意思とは無関係に単独で家庭裁判所に申立てをすることが可能です。

限定承認とは

限定承認とは、相続人が承継した資産の範囲内でしか負債の責任を負わない手続きのことです。資産と負債のどちらが多いかの判断が難しい場合に利用されます。プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた結果、余りがあれば相続人が受け取れる、という内容です。反対に借金が上回っていれば、借金の返済義務は発生しません。ただし、この方法を採る場合には、家庭裁判所に対して「相続人全員が共同で」申立てをしなければなりません。

相続放棄・限定承認の手続き方法

相続の放棄や限定承認をする場合には、家庭裁判所への申立てが必要となります。この申立ては、原則として「自己のために相続の開始があったことを知ってから3か月以内」に行うよう決められています。相続放棄や限定承認したい場合には、3か月以内に手続きする必要があるので注意しましょう。

相続放棄や限定承認ができないと、マイナスの財産を相続することになってしまいます。

デメリット2:遺留分侵害額の請求ができなくなる

2つめのデメリットは遺留分侵害額の請求ができなくなることです。最初に「遺留分侵害額の請求」について説明します。

遺留分侵害額の請求とは

遺留分とは、法定相続人(遺留分権利者に限る)に認められる、最低限の遺産の取得分のことです。遺言によって贈与又は遺贈があり、遺留分に相当する遺産を受け取ることができなかった場合、遺留分権利者は贈与又は遺贈を受けた者に対し、遺留分を侵害されたとして遺留分を請求することができます。これを遺留分侵害額の請求といいます。

たとえば、相続人の中の特定の1人にすべての財産を相続させる遺言があったとします。遺言により財産を受け取ることができなくなったその他の法定相続人は、遺留分侵害額の請求を行うことにより、「すべての財産を相続させる」と遺言で指名された人に対して、遺留分に相当する金銭の支払いを請求することができます。これが「遺留分侵害額の請求」です。

遺留分侵害額の請求の手続き方法

遺留分侵害額の請求は、内容証明郵便などの確実な証拠が残る方法で、相手に請求通知書を送付することで実行します。請求期限は「遺留分権利者が、遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年以内、または相続の開始があったときから10年以内」とされています。

「折りを見て話し合いをしよう」と考えているうちに1年が過ぎてしまうことはよくあることです。期限を過ぎた場合は一切遺産を返してもらえなくなるので注意しましょう。

デメリット3:相続回復請求ができなくなる

3つめのデメリットは相続回復請求ができなくなることです。「相続回復請求」について説明します。

相続回復請求とは

「相続回復請求」とは、法定相続人が持つ「財産を相続する権利」が、法定相続人以外の相続人によって侵害された場合に「相続回復請求権を適用」して、侵害された権利の返還や回復を行うことです。

相続回復請求の手続き方法

相続回復請求の手続き方法は、裁判所に申し立てる方法と、対象者に直接請求する方法の2種類があります。直接請求ですと容易に認められる可能性は低いため、裁判所での申立が一般的です。

相続回復請求権には期限があり、「相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知ったときから5年以内、もしくは相続の開始があったときから20年以内」に手続きする必要があります。期限を過ぎてしまうと請求できなくなるので注意しましょう。

デメリット4:遺産の名義変更をしないと消滅のリスクがある

4つめのデメリットは、遺産の名義変更をしないと消滅するリスクがあることです。主な遺産の種類として、預貯金、不動産、株式がありますが、名義変更を行わなかった場合、こうした遺産に消滅のリスクがあります。なお、民法上の遺産ではありませんが、生命保険契約についてもあわせて説明します。それでは遺産の種類ごとに内容を確認しましょう。

預貯金の場合

まず預金債権(預貯金)の場合を説明します。預貯金の相続手続きは「名義変更」ではなく、「払戻し」がほとんどです。銀行に対して預金の払戻しを請求できる期限は「権利を行使できることを知ったときから5年以内」となっており、5年過ぎると権利が消滅します。
<注意>
民法が改正され、2020年4月1日以降に生じた債権については下記2点の場合にも権利が消滅します。
現実には期限を過ぎても銀行側が預金の存在を確認できるときは払戻しに応じてくれます。しかし、法的に認められている「権利の消滅」を銀行が主張して裁判になった例もあります。預貯金の払戻しも早めに手続きしておきたいものです。

不動産の場合

亡くなった方(被相続人)名義の不動産を、相続人名義に変更することを相続登記といいます。2020年時点の法律では、意外にも相続登記に期限はありません。亡くなった方の名義のまま、土地や建物を放置していても何の罰則もないのです。

しかし相続登記をしないで放置していると、次のようなリスクがありますので、注意が必要です。
リスク1:
他の相続人の法定相続分を差し押さえられたり、売却されたりする恐れがある。 法定相続分を超える持分を相続した場合には、登記しないとその超える部分の権利を主張することはできない。このため、登記をしていなかった不動産の持分の一部を勝手に売却されても、返してもらうことはできない。
リスク2:
不動産の売却や担保設定ができない。
リスク3:
権利関係が複雑になる。
リスク4:
次の相続時に2倍の費用がかかる可能性がある。ただし、2018年4月1日から2021年3月31日までの時限措置として、一代前の相続登記にかかる登録免許税を、免税にする特例がスタートした。この適用を受けた場合は2倍の費用はかからない。
不動産の相続登記をしないと、以上の4つのリスクがあります。

他にも、長い間相続登記を放置していたために不動産の所有者が不明となり、売却できなくなったケースもありました。さかのぼって登記を行うには、多くの書類が必要です。売却するための同意書を求めて、権利者の間をあちこち走り回る‥といった事態になることも。

「共有持分の買取を請求される」場合もありますし、不動産相続登記の放置はトラブルの元なのです。

このように、現行制度での不動産相続には問題が多いので、法務省は相続登記義務化の法改正をすすめています。さまざまなリスクを避けるためにも、相続登記は早めに済ませましょう。

株式の場合

続いて、株式を相続する場合について解説します。株式を相続した場合、名義変更されていなくても、株主としての権利は相続人が取得しています。しかし株式の名義を書き換えずに放置しておくと、利益配当の通知を受け取れないため、配当をもらうことができません。

また、株主に対して発行した通知が5年間届かない場合には、株主所在不明という扱いになります。株主所在不明になると、その株主が持つ株式を競売で売却するか、発行会社が買い取ることが許されています。こうなると、相続人は株主の地位も失うことになります。名義書換は忘れずに実行してくださいね。

生命保険の場合

生命保険金の請求は、保険法により「支払事由が発生したときから3年以内」と定められています。 3年が過ぎてしまうと、保険金請求権が消滅してしまいます。

デメリット5:相続税を申告しないと罰せられるリスクがある

5つめのデメリットは、相続税を申告しないと罰せられるリスクがあることです。法律により、相続税の申告には期限が定められています。申告期限内に適切な申告ができないと、罰則を受けることがあります。罰せられることのないよう、相続税の申告について確認しておきましょう。

相続税の申告期限

まず相続税の申告期限について確認します。相続税は、相続の総評価額が「相続税の基礎控除」を超える場合に発生するものです。(ちなみに「相続税の基礎控除」は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」 という式で計算できます。)

相続税の申告期限は「相続の開始があったときから10か月以内」です。申告期限は納付期限でもあり、相続税は現金で払わねばなりません。しかし遺産のほとんどが不動産だった場合は、手元にある現金では足りないこともあります。

手元の現金が足りない場合は、現金を新たに用意しなくてはなりません。相続財産である不動産を一部売却するか、不動産を担保として金融機関から融資を受けるといった手段があります。

ところが、遺産を処分して現金化したくても、できない場合があります。遺産分割協議が長びいて、期限までに遺産分割が間に合わないときです。遺産分割が間に合わなくても、申告期限は変わりません。ですので、法定相続分に応じて相続税を計算し、期限までに納税する必要があります。

軽減措置を適用不可

相続税には、特例を適用することで納税金額を減額できる軽減措置があります。ただ、この軽減措置は、申告期限までに適切な手続きをしないと受けられないことがあります。こちらも期限を守らないことで生じるデメリットです。

追徴課税のリスク

期限を守らないと、追徴課税されるリスクもあります。追徴課税には加算税と延滞税の2種類があります。

加算税とは、適切に申告しなかった人に対して加算される、罰則的な意味合いの税金です。
延滞税とは、適切に納付しなかった人に対する、利息的な意味合いの税金です。

相続税の申告が適切ではない場合は納付も適切ではないため、追徴課税として加算税と延滞税の両方が課せられます。申告は適切だったけれど税金を納めていない場合は、延滞税だけが課せられるでしょう。

追徴課税の流れ

追徴課税の流れをご紹介します。

申告を怠っていると、税務署から「相続税についてのお尋ね」が届きます。

お尋ねが届いたのに、さらに放置したままにしていると「税務署長による決定処分(課税処分)」がなされます。

さらに一定期間の滞納状態が続き「悪質に申告しない」と判断された場合は、相続財産を差し押さえられることもあります。

財産差し押さえの後で申告と納税を行うと、高額な加算税と延滞税が課税されます。
滞納して後から払う税金は、きちんと納税した場合に比べるとはるかに高額です。

刑事罰のリスク

申告義務がありながら申告しないと、追徴課税が課されますし、懲役や罰金が科される可能性もあります。

刑事罰になる事例をご紹介しましょう。
上記のように、相続の手続きを期限内に済ませないと、さまざまなデメリットが生じるのです。

まとめ

今回は、相続手続きをしなかった場合のデメリットについて解説しました。遺産相続の手続きをしないと、様々な不利益が生じます。特に期限がある手続きは、期限を経過するとどうすることもできません。相続手続きにおいて、心配事や不明な点がある場合には、早めに専門家に相談されるとよいでしょう。

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