新宿、銀座、小田原の
相続税専門税理士

受付時間 平日 9:00~20:00 / 土曜 9:00~17:00

相続税に関する記事をインターネット上で閲覧すると、「相続税より贈与税のほうが安い」、「贈与税より相続税の方が税負担は低い」など、真逆のことが書かれてあることがあります。どちらが正しいのか疑問に思われる方もいるのではないでしょうか。

 

相続税と贈与税のどちらがお得であるかは、その時の状況により異なるのです。このページでは、相続税・贈与税のどちらが有利かを、具体的な事例を用いながら分かりやすく説明します。

目次

そもそも相続税とは?

国税庁のHPには「亡くなった人から各相続人等が相続や遺贈などにより取得した財産の価額の合計額が基礎控除額を超える場合、相続税の課税対象になる」と書かれています。


大事なポイントは「基礎控除額を超える場合に相続税の課税対象になる」という点です。つまり、基礎控除を超えなければ相続税の課税対象にはなりません。

 

基礎控除額は以下の計算式で求めます。

「3,000万円+600万円×法定相続人の数」

例えば、法定相続人が配偶者とお子様の2人の場合、基礎控除額は以下の計算式で求めます。

3,000万円+600万円×3名=4,800万円

基礎控除額は4,800万円です。そのため、遺産総額が5000万円程度までなら相続税はかかりません。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0円
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

そもそも贈与税とは?

「贈与税は相続税の補完税」といわれています。

仮に贈与税が存在しなければ、相続税の税負担を回避する目的で、他者に資産を贈与する方が出てくるでしょう。そのような租税回避行為を防ぐために、贈与税の規定が設けられています。

国税庁のHPには「贈与税は、1人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります」と書かれています。
すなわち、基礎控除額110万円までの贈与なら贈与税はかかりません。基礎控除だけでみると贈与税のほうが相続税よりも低い事が分かります。贈与税の速算表(特例贈与財産用)を以下に添付します。
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

相続税と贈与税の比較

個人が同じ財産を受け取る場合、受領形態は贈与より相続のほうが有利です。すなわち、贈与税よりも相続税のほうが安くなります。

例えば、一人息子が父親(母は既に他界)から5,000万円を受け取る事例で確認しましょう。

相続で受け取る場合(相続税の課税対象)

① 受け取る財産の総額 5,000万円
② 基礎控除額 3,000万円+600万円×1名 = 3,600万円。
③ 相続税の課税価格 ①-②=1,400万円
④ 相続税の総額(速算表より) ③×15%-50万円=160万円

贈与で受け取る場合(贈与税の課税対象)

① 受け取る財産の総額 5,000万円
② 基礎控除額 110万円
③ 贈与税の課税価格 ①-②=4,890万円
④ 贈与税(速算表より) ③×55%-640万円=2049.5万円

同じ財産を同じ方から受け取っているにもかかわらず、実にその差は2,000万円以上です。したがって、一般的に「相続税のほうが贈与税より税負担は低い」という認識は正しいといえるでしょう。

相続税のほうが安くなる場合とは?

遺産総額が基礎控除以下の方は、相続税対策としての贈与は検討しなくても問題ありません。なぜなら、そもそも相続時に税金がかからないため。

一般的に、相続税のほうが贈与税より税負担は低めです。そのため、税金の専門家などに相談なく贈与することは避けたほうが良いでしょう。

贈与税のほうが安くなる場合とは?

贈与税のほうが税負担を抑えられるのは、富裕層で多額に相続税が発生する見込みがある場合です。

例えば、一人息子が父親(母は既に他界)から5億円を受け取る事例で確認しましょう。5億円の受け取り方を、以下の2通りに分けて考えます。

①5億円を相続のみで受け取る
② 10年間かけて毎年500万円ずつ贈与を受けた後、残りを相続贈与をする(便宜上、生前贈与加算を加味しない)。

まず、「①5億円を相続のみで受け取る」ケースを考えてみましょう。

① 受け取る財産の総額 50,000万円
② 基礎控除額 3,000万円+600万円×1名 = 3,600万円。
③ 相続税の課税価格 ①-②=46,400万円
④ 相続税の総額(速算表より)③×50%-4,200万円=19,000万円

次に、「②10年間かけて毎年500万円ずつ贈与を受けた後、残りを相続贈与をする」ケースです。

① 1年間で受け取る財産の総額 500万円
② 基礎控除額 110万円
③ 贈与税の課税価格 ①-②=390万円
④ 贈与税(10年分) (390万円×15%-10万円)×10年=485万円
⑤ 相続税の課税価格 50,000万円-500万円×10年-3,600万円=41,400万円
⑥ 相続税の総額(速算表より) ⑤×50%-4,200万円=16,500万円
⑦ 贈与税と相続税の総額 ④+⑥=16,985万円

相続のみと贈与をした場合の差額 19,000万円(相続のみ)-16,985万円(贈与+相続)=2,015万円

比較すると、「②10年間かけて毎年500万円ずつ贈与を受けた後、残りを相続贈与をする」ケースのほうが税負担が軽くなると分かります。その理由は、相続税率50%にかけられる課税価格が少ないためです。

1つ目の事例では、46,400万円、2つ目の事例では41,400万円に対して税率50%がかけられます。その差は2,500万円です。このように課税価格が異なると、大きな差が生じます。

相続せずに贈与を選択して失敗した事例

相続せずに贈与して失敗した事例をご紹介します。

不動産の移転コスト(登録免許税や不動産取得税)を考えずに贈与を実行し多額の移転コストが発生(相続での所有権移転は税金が優遇されるため)
相続時精算課税制度による贈与を実行した後、相続が発生。相続人サイドでその認識がなく、税務調査による追徴課税を受けた
他の相続人に配慮に欠ける贈与を行ったがゆえに遺産分割協議が難航し、小規模宅地の特例の適用を受けられず多額の納税が余儀なくされたり、事業承継がうまくいかなかった

ほんの一例を列挙しました。このような事例に遭遇するともっと早い段階で相談を頂いていたら違う結果になったかもしれない、とつくづく感じるものです。

【まとめ】一般的には相続税の方が安いが、例外もある

一般的には相続税の方が税負担は軽めですが、例外もあります。

このページでは相続税と贈与税のどちらがお得か解説しましたが、内容についてご理解いただけたでしょうか?正直申し上げて、少し難しい内容の記事だったと思います。

この内容は相続専門の税理士事務所に入社した新人でも、理解するまで時間がかかる内容です。そのため、相続に慣れていない方がこの記事をご覧になって完全に理解する必要はないと考えます。その中でも具体的な事例を交えればイメージしやすいかと考えました。

「一般的には相続税のほうが安い、ただし例外もあって贈与のほうが有利になるケースもある」という理解で十分でしょう。

とはいえ、専門家に相談する事なく贈与を実行して失敗してしまった方を何度も目の当たりにしてきた筆者にとっては贈与の実行を検討されている方は是非専門家に相談してほしいという想いがあります。このページをご覧になった方で相続税対策の必要性が無いと感じた方はご安心頂けますと嬉しく思います。相続税対策が必要と思われる方の場合は、この記事がきっかけとなって専門家に相談して上手な相続税対策を実行して頂けたら嬉しく思います。

相続税額のシミュレーション 
相続税専門の税理士が無料で診断
2ステップで相続税がいくらかかるかわかります

「遺産を相続する場合、相続税はどのくらいかかるの?」「相続税の計算の仕方が分からない」こんなお悩みを持つ方は多いでしょう。
そこで、相続人の人数や財産額を入力していただくだけで、相続専門税理士が無料で相続税のシミュレーションを算出し、相続税の概算をお伝えします。

またシミュレーションをお申込みいただいた方に、相続税の手続きに役立つ漫画のPDFを無料でプレゼント!

漫画では「税理士選びの失敗談」「自分で相続税手続きをするとどうなる?」「失敗しない「相続専門」税理士の選び方」など、この様な内容を漫画でわかりやすく解説しています。

> シミュレーションはこちらから
Click to Hide Advanced Floating Content
Click to Hide Advanced Floating Content